釉薬とは

釉薬は、器に溶け付いた薄いガラスの層です。オープンな釉薬調合データベースである Glazy は、釉薬を「ある温度で溶けて粘土に溶け付くように調整されたガラスの組成」と呼んでいます。釉薬は粉の層として掛けられ、窯の中で溶けてガラス質の層となり、粘土をふさぎます。そのため器は水漏れ、しみ、摩耗が起こりにくくなります。焼成の最高温度では、溶けた釉が粘土とも反応し、多くの場合、両者の間に層をつくって釉を固定します。陶器では釉が別の層として表面に乗り、炻器では釉が素地に溶け込みます。

調合には、長石、石灰石、カオリンなどの原料が並びます。窯の中で、それぞれの原料の一部はガス(水や二酸化炭素)として抜け、残りが酸化物になります。酸化物とは、シリカ(SiO₂)や酸化カルシウム(CaO)のような、元素と酸素の化合物です。焼成後のガラスは酸化物でできているので、陶芸家は釉薬を酸化物で表します。酸化物はそれぞれ、三つの役割のうち一つを担います。

  • シリカ(SiO₂)はガラス形成成分で、ガラスの骨格をつくります。純粋なシリカが溶けるのは 1700 °C (3100 °F) を超えてからで、陶芸用の窯よりはるかに高温です。一般に、シリカの多い釉薬ほど耐久性があります。
  • 媒溶剤は、融点を窯で届く温度まで下げます。アルカリ(R₂O と書きます)は、ナトリウム、カリウム、リチウムの酸化物(Na₂O、K₂O、Li₂O)で、オルトンコーン 06 から中火度、高火度まで働きます。アルカリ土類(RO と書きます)は、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウムの酸化物(CaO、MgO、BaO、SrO)で、酸化亜鉛(ZnO)も同じ仲間に入れます。こちらはコーン 5 からコーン 10 で最もよく働きます。R は、その族の金属のどれかを表します。
  • アルミナ(Al₂O₃)は安定剤です。溶けた釉に粘りを与えて垂直な壁面にとどまらせ、硬さと耐久性を加えます。Glazy の注意によれば、アルミナが少なすぎると「釉が流れることがあり、多すぎると溶けた釉の粘りが強くなりすぎてマットになることがあります」。アルミナは主に粘土と長石から入ります。

ホウ素(B₂O₃)は、この区別をあいまいにします。化学ではガラス形成成分に分類されますが、工房の温度では媒溶剤として働くので、陶芸家は媒溶剤として扱います。オルトンコーン 5〜6 では欠かせず、高火度では必要ありません。(陶芸家が焼成を呼ぶのに使うコーンについては、後で説明します。)

覚え方の一つ: シリカがガラスで、媒溶剤はそれをお使いの窯で届く温度で溶かし、アルミナはそれに粘りを与えて、掛けた場所にとどまらせます。

粘土、化粧掛けと二度の焼成

素地

素地は、器をつくる粘土のことです。主に三つの種類があります。

  • 陶器: 低火度の素地で、およそオルトンコーン 06〜02 で焼き、吸水性が残ります。赤や淡黄色のことが多く、水を漏らさないためには釉薬が必要です。
  • 炻器: 中火度から高火度の素地で、およそオルトンコーン 5〜10 で焼き、ガラス化するか、それに近くなります。
  • 磁器: カオリンを多く含む白い高火度の素地で、透光性のあることが多いものです。

ガラス質とは、ガラスのようで吸水性がないことです。ガラス化は、焼成によって素地がそうなることです。英国の陶芸家は、温度で線を引くことがよくあります。1200 °C (2192 °F) を超えて焼くものが炻器、それより低いものが陶器です。中火度(オルトンコーン 5〜6)は、ちょうどこの線の前後にまたがります。

化粧掛けと乾燥

泥漿は、粘土を水に懸濁させたもので、鋳込み、接合、装飾に使います。エンゴーベは泥漿に似た化粧掛けで、色がついていることが多く、粘土以外の原料を多く含みます。下絵付けは、色のついた泥漿や酸化物による装飾で、ふつうは透明釉で覆います。

焼成していない器は未焼成の素地です(この言葉が焼成前の器すべてを指すのか、乾いた器だけを指すのかは、資料によって意見が分かれます)。乾くにつれて生乾きになります。硬くなったもののまだ少し湿っている状態で、削りや取っ手付けをする段階です。次に完全乾燥になります。自由水が残っておらず、非常に壊れやすく、焼成できる状態です。

二度の焼成

最初の、低めの焼成が素焼き(英国では biscuit)で、ふつうはオルトンコーン 08〜04(多くは06〜04)、およそ 942–1063 °C (1728–1945 °F) です。器は丈夫になりますが、吸水性は残ります。釉薬の参考サイトである Digitalfire は、一般に15%を超える気孔率を勧めています。そうすれば、釉を掛けるときに素焼きが釉から水を吸い取ります。低めの素焼き(コーン 08〜06)は吸水性が高く、高めの素焼き(多くはコーン 04)は丈夫ですが、釉が付きにくくなります。

素焼きによる施釉の違い(Digitalfire)
素焼き起こること
焼成不足で、吸水性が非常に高い釉が厚く付きすぎ、ひびが入って縮れる
焼きすぎで、緻密浸し掛けと乾燥に時間がかかる
より高温で焼いたか、最高温度で長く保持したこの段階で多くのガスが燃え抜けるので、後で釉を通って出る泡が少ない

英国の販売店 Potclays は、およそ 1000 °C (1832 °F)、オルトンコーン 06 ほどまでの素焼きを紹介しています。これらの資料を合わせて読み、最初の素焼きにはコーン 06〜04 をおすすめします。Orton の中間の昇温速度で 998–1063 °C (1828–1945 °F) です。

本焼き(英国の陶芸家は glost firing と呼ぶこともあります)は釉薬を溶かし、炻器では粘土も適正に焼き上げます。一度焼きは、焼成していない器に施釉して一度だけ焼くことです。Digitalfire は、生掛けした器の口縁が縮れ、素焼きをするようにしたら直ったという生産現場の例を報告しています。ですから、まずは二度の焼成から始めてください。両方の焼成スケジュールは「基本の窯焚き」にあります。

コーンと焼度

陶芸家は焼成をコーンで呼びます。コーンは細長いセラミックの三角錐で、一定量の熱を受けると曲がります。コーンをつくっている Orton は、こう説明しています。「コーンは温度だけを測るのではありません。コーンが測るのは焼度、つまり時間と温度を合わせた効果です。」

焼度がその理由です。釉薬、粘土、コーンはどれも、どれだけ高温かだけでなく、どれだけ長く高温にあったかにも反応します。ゆっくりした焼成ではコーンは低い温度で曲がり、速い焼成では高い温度で曲がります。Orton の温度表では、オルトンコーン 6 は、焼成の終わりの昇温が毎時 15 °C (27 °F) なら 1185 °C (2165 °F)、毎時 60 °C (108 °F) なら 1222 °C (2232 °F)、毎時 150 °C (270 °F) なら 1243 °C (2269 °F) で曲がります。昇温速度は最後の 100 °C (180 °F) で測ったものです。先端が90°曲がったところでコーンは倒れたとみなされます。Orton はこれを5時の位置と呼んでいます。

コーンの番号は022から42まであります。先頭にゼロが付くのは低温側の系列で、そこでは数字が大きいほど低温です。オルトンコーン 06 はコーン 04 より低温で、コーン 01 はコーン 1 より低温です。

焼成温度域: Orton の自立型コーン、毎時 60 °C (108 °F) の場合
温度域オルトンコーン°F°C用途
低火度06〜041,828〜1,945998〜1,063陶器の釉薬、素焼き
中火度5〜62,167〜2,2321,186〜1,222炻器と磁器
高火度9〜102,300〜2,3451,260〜1,285炻器と磁器

焼成の名前とプログラムはコーンで決め、温度はおおよその目安と考えてください。棚板の上で器の間に置いた確認用コーンや、三本組のコーン(ガイドコーン、焼成コーン、ガードコーン)が、器が実際に受けた焼度を示します。

公表されている温度はまちまちです。Glazy は高火度(コーン 9〜11)をおよそ 1280–1310 °C (2336–2390 °F) としていて、これは Orton の速い列と一致します。Digitalfire は、たいていの窯はおよそ 1204 °C (2200 °F) でオルトンコーン 6 に達すると報告しています。おすすめは、このガイドと同じく Orton の中間の昇温速度の数値を使い、コーンでプログラムを組み、確認用コーンで判断することです。

北米以外では、販売店はコーンではなく °C で示すことがよくあります。現在のコーンはヘルマン・ゼーゲル(Hermann Seger)が考案し、1886年にベルリンで初めて使われました。英国には独自のスタッフォードシャーコーンもあります。これらの番号が Orton の番号と一致すると考えないでください。換算する表は見つかりませんでした。コーンについては「基本の窯焚き」で詳しく説明しています。

調合からゼーゲル式へ

調合は、原料を重量で並べたもので、ふつうは基礎釉の合計が100になるように換算します。添加物(着色剤、乳濁剤、沈殿防止剤)は100の外に加え、ふつうは基礎釉に対する外割の%で示します。釉薬の中身を知るために、陶芸家は調合をゼーゲル式(UMF)に直します。ゼーゲル式という名前は、この三列の書き方を最初に使ったヘルマン・ゼーゲルにちなんだものです。

調合からゼーゲル式へ: Glazy の計算例
手順起こること例では
1. 調合原料を重量で、合計100に換算する長石40%、ほか
2. 酸化物の分析値食品の栄養成分表示のように、各原料の酸化物を重量%で足し合わせ、ガスは除く長石はシリカが64.8%なので、その40%で SiO₂ が25.9%入る。焼成後の釉は SiO₂ 67.4%、Al₂O₃ 12.6%、K₂O 7.5%、CaO 12.5%
3. モル重量をモル(分子の数)に直す。「酸化物には重いものと軽いものがあるので、グラムでは誤解を招くことがある」からですSiO₂ は60.1 g で1モルなので、67.4 g はおよそ1.12モル
4. ゼーゲル式すべてを媒溶剤の合計で割り、媒溶剤の合計を1にする媒溶剤の合計は0.303。割ると K₂O 0.26、CaO 0.74、Al₂O₃ 0.41、SiO₂ 3.70

Glazecalc の調合ページは、入力するそばからこの四つの手順をすべて行い、結果を三列で示します。合計が1になる媒溶剤(R₂O と RO)、安定剤(R₂O₃: アルミナ。ホウ素もここに置かれることが多い)、ガラス形成成分(RO₂: シリカ)です。Glazy は「ゼーゲル式にするのは単なる換算の道具です」と言います。違う原料からつくった二つの調合でも、ゼーゲル式が同じなら「焼成後はほぼ同じようにふるまいます」。つまり1は共通のものさしで、量る量ではありません。Digitalfire は、この方法は「低い温度ではそれほどうまくいかない」(ホウ素が単純な媒溶剤ではないため)とし、ゼーゲル式は「比較のためのもので、文脈の中で見るのが最もよい」と付け加えています。[比較] では、二つの調合のゼーゲル式を酸化物ごとに並べて見られます。

シリカ・アルミナ比

最も役に立つ一つの数値はシリカ・アルミナ比、つまりシリカをアルミナで割った値です。例では 3.70 ÷ 0.41 で、およそ9です。

シリカ・アルミナ比からわかること(Glazy)
比Glazy の読み方
およそ9熱が十分なら、光沢のある溶け方を示す
5〜7安定した炻器の釉薬の多くに典型的
3〜5マット、または焼成不足のことがある

比が5〜7でも、それだけでは光沢かマットかは予測できません。媒溶剤、ホウ素、コーンのどれもがその境目を動かします。Glazy は、安定した釉薬の典型的な媒溶剤のバランスとして、R₂O 0.2 と RO 0.8 から、R₂O 0.3 と RO 0.7 までを挙げています。アルカリが多いほど溶けた釉は流動性が高くなり、熱膨張が大きくなるので、貫入のおそれも高くなります。

強熱減量

強熱減量(Ig.loss、LOI)は、水、二酸化炭素、有機物、硫黄がガスとして抜けることで、原料が窯の中で失う重量です。焼成後の釉薬には強熱減量がないので、ゼーゲル式には含めません。

典型的な強熱減量(Digitalfire)
原料典型的な強熱減量
石灰石(炭酸カルシウム)、ドロマイト40%を超え、大半は二酸化炭素。炭酸カルシウム100 g から約45 g が抜ける
炭酸リチウム約60%
炭酸バリウム、Gerstley Borate20%を超える
カオリン約12%。主に結晶に結合した水
長石類1%未満

釉が溶け始めた後に抜けるガスは、釉の中を泡となって通り抜けなければならず、Digitalfire の言葉では「泡、ブク、ピンホール、縮れ」の原因になります。タルクはおよそ 899 °C (1650 °F) までガスを出し続けます。フリット、仮焼した原料(前もって加熱してガスを追い出したもの)、焼成の変更がどれも役に立ちます。

古い本では、この計算を手で行います。使うのは分子量(原料や酸化物1モルの重量)と当量(酸化物を1モル供給する原料の重量)です。私たちの計算では、石灰石およそ100 g が酸化カルシウム1モル(56 g)を供給します。計算機を使えばどちらも扱えます。

フリットと原料

フリット

フリットは工場でつくるガラスです。鉱物を溶かし、水で急冷して粉砕したものです。フリット化すると、ホウ砂のような水溶性の原料が不溶性になり、鉛やバリウムのような有毒な酸化物が安定したガラスの中に閉じ込められ、天然の鉱物より品質のそろった原料になり、ガスも抜けます。そのためフリットを使った釉薬は「欠点がずっと少ない」(Digitalfire)のです。フリットは早く溶けもします。ソーダフリットはオルトンコーン 06 で働きますが、長石は「コーン 6 でようやく軟化し始める」程度です。フリットは高価で、懸濁を保つには粘土が必要です(Digitalfire の例ではフリット85%に粘土15%)。また、「理論上は不溶性だが、実際にはそうではない」ものです。

北米のフリットはメーカーと番号で呼ばれます。Ferro Frit 3134(Ferro は現在 Vibrantz)は、Glazy の公開調合のおよそ22%に使われています。英国の調合では、標準的なホウ砂フリットのような一般名のフリットが使われることが多くなります。

よく使う原料

よく使う釉薬原料と、それが供給するもの
原料(別名)供給するもの備考
珪石(フリント、石英)SiO₂釉薬には非常に細かく粉砕した325 メッシュを使う
カオリン(英国: china clay、オーストラリア: Eckalite)Al₂O₃、SiO₂主なアルミナ源。釉の懸濁も保つ
ボールクレーAl₂O₃、SiO₂カオリンより可塑性が高く、鉄分と有機物が多い
カリ長石、ソーダ長石、ネフェリンサイアナイトK₂O、Na₂O、Al₂O₃、SiO₂それ自体のアルミナとシリカを伴う媒溶剤。ネフェリンサイアナイトは低火度と中火度の強い媒溶剤。古い調合の単なる「長石」は、どれのこともある
石灰石(炭酸カルシウム)CaO主なカルシウムの媒溶剤。二酸化炭素を出す
ウォラストナイトCaO、SiO₂二酸化炭素を出さないカルシウム源
ドロマイト、タルクMgO と CaO または SiO₂絹のようなマットの表面。熱膨張が小さくなる
亜鉛華ZnO光沢と結晶。多すぎると縮れの原因になることがある
ホウ素フリット、Gerstley Borate、コレマナイトB₂O₃オルトンコーン 06 からコーン 6 まで不可欠。フリットは「天然ホウ酸塩より品質がそろっていて、溶けにくい」
炭酸リチウムLi₂O熱膨張の小さい媒溶剤。高価なので控えめに使う
炭酸ストロンチウムSrOバリウムの代わりとなる、毒性の低いほうの原料
炭酸バリウムBaO生のままでは有毒。バリウムの多い釉薬は溶出することがある
ベントナイト懸濁非常に細かい粘土。沈殿を防ぐため、ふつう1〜3%

釉薬原料は細かい粉です。シリカの粉じんは、初めは症状がないまま肺を傷つけます。また、炭酸バリウムや炭酸リチウムなど、飲み込むと有毒な原料もあります。粉は静かに扱い、掃除は湿式で行い、乾いた状態で作業するときは顔に合った防じんマスクを着用してください。方法は「安全な調合と換気」と「家族を中毒にさせない」で説明しています。

地域による呼び名

  • カオリンは英国では china clay と呼ばれ、オーストラリアの販売店は Eckalite という名で売っています。
  • フリントは、シリカを指す英国の古い呼び名です。英国の販売店は今も仮焼フリントを独立した製品として売っているので、英国の調合の「フリント」はおそらく仮焼フリント、米国の調合ではおそらく石英粉です。どちらもシリカ源として売られています。分析値を確認してください。
  • china stone とコーニッシュストーン(Cornwall stone)は同じ原料で、長石の仲間です。
  • 石灰石は炭酸カルシウムです。ドイツの販売店は Kreide(白亜)と呼んでいます。

原料は名前ではなく、供給する酸化物で判断してください。Glazecalc はそのように動きます。原料ページで販売店の分析値を入力でき、[今の原料で試して比較]、[量を提案して比較]、[手持ちの原料で作る] は、どれも名前ではなく焼成後の酸化物で照らし合わせます。

原料も変わります。Custer 長石は2023年に生産が終わりました。もともとの Gerstley Borate の鉱山は1999〜2000年ごろに閉山しました。Laguna は今もその名前の製品を売っていて、主な代替原料は Gillespie Borate です。Gillespie が Gerstley Borate と同量で置き換えられるかどうかは資料によって意見が分かれる(メーカーと Potclays は置き換えられるとし、Digitalfire などは置き換えられないとしています)ので、Glazecalc で二つを比較してから、少量でテストしてください。

着色剤と乳濁剤

着色剤は、釉薬に色をつける金属の酸化物や炭酸塩です。顔料は工場でつくった着色剤で、生の酸化物より安定していて品質がそろっています。着色剤はふつう基礎釉の5%未満、多くは1%未満で、炭酸塩の強さは対応する酸化物のおよそ半分です。

よく使う着色剤(基礎釉に対する外割%)
着色剤ふつうの出発量色と備考
コバルト0.1〜2%(資料により異なる)青で、非常に強い。基礎釉にマグネシウムがあると紫寄りになる
鉄0.5〜10%酸化焼成では茶、黄土色、赤。還元焼成では½〜2%で青磁、5〜6%で天目になる。媒溶剤でもあるので、多いと釉が流れる
銅1〜3%酸化焼成では緑やトルコ青、還元焼成では赤。釉が溶出しやすくなることがある
クロム0.5%未満〜2%(資料により異なる)緑。基礎釉に亜鉛があると茶、錫と合わせるとピンク
マンガン2〜10%茶と紫
ルチル約2〜5%まだらで変化のある色。約5%を超えると粗い、またはマットな表面になる
市販の顔料2〜12%淡い色には2〜4%、中間の色調には5〜8%、濃い色には10〜12%

コバルトとクロムの量は、本当に意見が分かれています。Glazy は、青にはコバルト0.1%で十分だとしています。Glendale Community College は、雰囲気によって½〜2%または½〜3%としています。Birdie Boone は『Pottery Making Illustrated』で3%以下としています。クロムについては、Boone は0.5%未満、Glendale は2〜3%です。安全なのは、少量から始めてラインブレンドをすることです。ラインブレンドとは、一つの原料を少量から多量まで段階的に変えたテストピースの列です。

基礎釉によって色は変わります。光沢のある透明な基礎釉では最も鮮やかな色になり、ふつうアルミナの多い半光沢やマットの基礎釉では色が落ち着きます。マグネシウムはコバルトを紫寄りにし、亜鉛はクロムを茶にし、クロムと錫を合わせるとピンクになります。

乳濁剤

乳濁剤は釉薬を不透明にして粘土を隠します。透明な釉薬は粘土を見せます。

乳濁剤
乳濁剤ふつうの量備考
ジルコン(Zircopax、Superpax、Ultrox、Zircosil)完全な乳濁には8〜12%安いほうの選択肢。これらの銘柄は、同じ原料を違う粒度に粉砕したもの
酸化錫約5〜7%(私たちの推定)高価。還元焼成では乳濁しにくい
酸化チタン2%を超える量絹のような半透明の乳濁。10%以上では、結晶の見えるマットでざらついた表面になる

釉と素地の適合と欠点

粘土も釉薬も、熱すると膨張し、冷えると収縮します。その量はそれぞれ異なり、これを熱膨張といいます。釉と素地の適合は、両者がどれだけよく合っているかです。適合が良いと、釉は粘土によってわずかに圧縮された状態になります。Digitalfire によれば、わずかな圧縮は器を強くしますが、圧縮が大きすぎると器を弱め、割ることさえあります。

貫入と釉はがれ

貫入は、細かいひびの網目です。釉の熱膨張が素地より大きいため、冷えるときに釉のほうが大きく収縮し、引っ張られてひびが入ります。原因はふつう、ナトリウムとカリウム(Na₂O、K₂O)の多すぎです。使っているうちに、冷たい飲み物に触れるなどの急な冷却を繰り返した後で、あとから現れることもあります。西洋式の楽焼(ラク)のように意図して出す場合は、装飾としての貫入(crackle)と呼びます。Digitalfire は「95%の場合、解決策は釉の熱膨張を調整することです」と言っています。徐冷は貫入を遅らせるだけです。その試験方法は、器をおよそ 149 °C (300 °F) に熱して氷水に浸け、フェルトペンでこすってひびを見えるようにするものです。

最初にどう直すかは、資料によって異なります。Glazy はシリカかアルミナを加えることを勧めますが、Digitalfire は、シリカを足しても「KNaO(ナトリウムとカリウム)を薄めるだけ」と反論しています。Linda Bloomfield は、一度に一つの原料ずつ、ホウ素を加えるか長石を減らすとしています。おすすめは、調合計算でナトリウムとカリウムの一部を熱膨張の小さい媒溶剤(ホウ素、リチウム、マグネシウム、カルシウム)に置き換え、その変化を**[比較]** で確かめ、氷水の試験で確認することです。

釉はがれはその逆です。釉の熱膨張が素地よりずっと小さいため、圧縮されすぎて、口縁や角からはがれ落ちます。Digitalfire は、はがれた破片はかみそりのように鋭いことがあり、飲み込んでしまうおそれがあると警告しています。Glazy は釉はがれを「実用の器では貫入よりもさらに危険」と呼んでいます。直すには、熱膨張の大きい釉にするか、熱膨張の小さい素地にします。

貫入や釉はがれのある器を、食べ物や飲み物に使わないでください。貫入のある器を十分にきれいにできるかどうかは資料によって意見が分かれる(食器洗い機で足りるとする資料もあれば、貫入のある実用の器は欠陥品だとする資料もあります)ので、私たちは慎重な側に立ちます。

光沢とマット

光沢の表面は反射してなめらかで、半光沢は控えめなつやがあり、マットはつやがありません。光沢には、完全に溶けたガラスが必要です。マットは、アルミナが多い(シリカ・アルミナ比が低い)こと、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウムなどの媒溶剤が冷却中に細かい結晶をつくること、または焼成不足から生じます。

よくある欠点

一度に一つだけ変え、テストピースは取っておいてください。

よくある釉の欠点と、そのふつうの原因、最初の対策
欠点見た目よくある原因最初の対策
縮れ釉が玉状に縮まり、粘土がむき出しになる素焼きにほこりや油がある。乾燥中にひびが入った、粘土の多い厚い釉層。亜鉛、ジルコン、錫素焼きをきれいにする。薄く掛ける。粘土の一部を仮焼する。CMC のような糊剤を加える
ピンホール小さな穴やくぼみ素地や釉から出たガスの跡がふさがらなかった。焼成不足や粘い釉最高温度で半時間ほど保持する。薄く掛ける。亜鉛やルチルを減らす
ブク縁の鋭いクレーターたいていは焼きすぎ。非常に厚い釉層。およそ 1200 °C (2192 °F) を超えると揮発する媒溶剤焼成温度を下げる。薄く掛ける。鋭い縁があると実用の器は安全でなくなる
釉流れ釉が棚板まで流れるアルミナが少なすぎる。流し掛けが重なった所のように厚すぎる。鉄が多い薄く掛ける。アルミナを加える。釉を高台から十分に離す
冷め割れ冷却や加熱による器のひび石英転移(573 °C (1063 °F))を急に冷やして通過する。壁の厚みが不均一。適合が悪い昇温でも降温でも 573 °C (1063 °F) をゆっくり通過させる。壁の厚みをそろえる

食器としての安全

溶出とは、焼成した釉から金属が溶け出して食べ物や飲み物に移ることで、見た目が完璧な釉でも起こることがあります。法律で定められた試験では、焼成した器を酸の溶液に浸し、溶け出した鉛とカドミウムを測ります。

無鉛は食器として安全と同じではない

米国、EU、英国、オーストラリアの規則が制限しているのは、焼成した器から溶け出す鉛とカドミウムの量で、釉に含まれる量ではありません。「無鉛」は一つの危険を取り除くだけで、食器としての安全性の評価ではありません。ほかの酸化物も溶出します。Glazy は、バリウムの多い釉薬は「溶出することがあり、一般に食器として安全ではない」と警告し、Digitalfire は、銅は「釉を溶出しやすくすることがある。試験してください」と言っています。また Glazy は、実用の器に鉛釉を勧めることをやめています。

内側用の安定した釉は、食べ物に触れる面のための安定した釉で、ふつうは透明か白です。私たちの考えでは、着色剤、バリウム、鉛、リチウムを含まず、完全に溶け、貫入が入らず、摩耗に強いものが、より危険の少ない選択です。より危険が少ないことは、安全の証明ではありません。

限界式(Digitalfire は目安の式と呼ぶほうを好みます)は、あるコーンで安定した釉薬の、典型的なゼーゲル式の範囲を示します。Digitalfire のオルトンコーン 6 の目安では、アルミナが0.285〜0.64、シリカが2.4〜4.7です。限界式は健全な化学組成への手引きになりますが、何も証明しません。Digitalfire が「限界」という言葉を避けるのは、範囲内の釉薬が「なんとなく安全」であるかのように思わせるからです。Glazecalc の調合を変える機能は、新しい調合が推奨される限界を超えたとき(たとえばコーン 6 でホウ素が多いとき)にそれを知らせ、釉薬がどうなりそうかを示します。

法律上の限度値は国によって異なります。下の表は、お住まいの国の限度値を法律の単位で示します。比べるには別の国を選んでください。

日本の法定試験で、焼成した器からの溶出が認められる量(確認日: 2026年10月14日)
器の種類鉛カドミウム
液体を満たすことのできないもの、又は深さ2.5 cm未満のもの 8 µg/cm²0.7 µg/cm²
その他の容量1.1 L未満のもの(加熱調理用器具を除く) 2 µg/mL0.5 µg/mL
その他の容量1.1 L以上3 L未満のもの(加熱調理用器具を除く) 1 µg/mL0.25 µg/mL
その他の容量3 L以上のもの(加熱調理用器具を除く) 0.5 µg/mL0.25 µg/mL
加熱調理用器具(深さ2.5 cm以上) 0.5 µg/mL0.05 µg/mL

食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)第3 Dで定められています。 溶出量が限度値以下であれば適合です。法令の表記は「以下」です。 加熱調理用器具とは、主に直火、オーブン、電子レンジで調理するために作られたものをいいます。湯せんで温めるものや100 °C以下で使うもの(徳利や茶碗蒸しの器など)は加熱調理用器具ではなく、電子レンジで温め直すだけのものも加熱調理用器具ではありません。

確認した出典: caa.go.jp.

米国では、食品に使えるように見える装飾用の陶磁器は、食器として扱われます。例外は、貼り付けるラベルと、底に型押しまたは焼き付けた「Not for Food Use. May Poison Food」のような消えない表示の両方を付けているものか、食品に触れる面を貫通する穴が開いているものです。EU は EU 指令 84/500/EEC で鉛とカドミウムの限度値を定めていて、英国も自国の法律で同じ数値を保っています。2026年5月29日から、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクでは、限度値がこの数値よりずっと低くなり、許容される溶出量は鉛でおよそ130〜150倍、カドミウムでおよそ15倍少なくなります。オーストラリアは輸入品に限度値を定めています。オーストラリアやニュージーランドでつくられた器についての公的な限度値は見つかりませんでした。

試験

FDA は、家庭用の綿棒式検査キットで溶出する鉛がわかることがあるとしていますが、Ceramics New Zealand は、検査用のペンは陶磁器用に設計されておらず、偽陽性が出ると警告しています。陽性が出たらその器を使うのをやめる理由とし、陰性は何の証明にもならないと考えてください。本当の答えは、焼成した器の検査機関での溶出試験(米国では ASTM C738、ヨーロッパでは EN 1388 または ISO 6486)です。

「食器として安全」とは、この釉薬を、この粘土に、この窯でこのコーンまで焼成し、この方法で掛けたとき、溶出量が法律の限度値未満であるという意味です。Glazecalc は安定した釉薬をつくる手助けができ、[鉛を置き換え] は古い鉛釉の調合を鉛なしで作り直せますが、器を保証できる計算機はありません。それができるのは、焼成した器の試験だけです。

比重と施釉

比重

釉薬の粉を水と混ぜたものが釉液です。その比重は、同じ体積の水と比べた重さで、水の比重は1.0です。比重が高いほど、バケツの中の粉が多いことになります。英国の古い本ではパイント重量と言います。Glazy は1.4〜1.5を「たいていの釉薬にとって良い出発点」としています。測るには、釉液をちょうど100 mL 量り(Glazy は注射器を勧めています)、その重さを100で割ります。145 g なら比重 1.45 です。ゲル状になった釉では比重計は当てになりません。また水は蒸発するので、施釉の前にもう一度確かめてください。

目標値は資料によって異なります。Digitalfire は浸し掛け用の釉薬を1.40〜1.50、市販の筆塗り用の釉薬を1.25〜1.55とし、Potclays は筆塗り用に1.71〜1.81、吹き掛け用に1.71としています。おすすめは、釉をわずかにゲル状にしておよそ1.45で浸し掛けし、筆塗り用の釉薬はラベルに従い、うまくいった値を書き留めることです。

凝集剤(エプソムソルト、酢、塩化カルシウム)は釉液をわずかにゲル状にして、チキソトロピーの性質を持たせます。かき混ぜると流れ、静かにしておくと固まるので、「むらがなく垂れない釉の被覆」になります。解膠剤(ケイ酸ナトリウムや Darvan)は釉液を薄くします。調合と調整については「釉薬の作り方」で説明しています。

釉の掛け方

まず素焼きのほこりや油を、かろうじて湿ったスポンジで取り除いてください。水洗いすると素焼きが水を吸ってしまいます。圧縮空気でほこりを吹き飛ばしたり、乾いたブラシで払ったりしないでください。シリカの粉じんが空気中に舞い上がります(「安全な調合と換気」を参照)。

  • 浸し掛けは「一般に厚さの均一な釉層になる」(Robin Hopper)方法です。浸す時間で厚さが決まります。Digitalfire によれば、市販の浸し掛け用の釉薬は、5秒浸すものはおよそ1.4、1秒浸すものは1.5につくられています。
  • 流し掛けの釉は「浸し掛けに使うときより少し薄く」します。流し掛けが重なった所では釉層が二重になり、流れることがあります。
  • 筆塗り用の釉薬には CMC のような糊剤が入っていて、釉がよく伸びて付くのを助け、焼成で燃え去ります。たいていは何回か、多くは二、三度塗る必要があります。ラベルに従ってください。
  • 吹き掛けでは、ずっと薄い釉を使い、「薄い層を何度も重ねて、少しずつ厚くしていきます」。

吹き掛けは、換気された吹付けブースの中でのみ、顔に正しく合った防じんマスクを着用して行ってください。「安全な調合と換気」を参照してください。

釉層が厚すぎると、縮れ、ブク、釉流れが起こることがあります。販売店の目安はクレジットカードの厚さから米国のダイム硬貨の厚さまでさまざまで、私たちの見積もりでは乾いた釉でおよそ1 mm です。確実なのは、いくつかの厚さでテストピースをつくって確かめることです。高台に塗る撥水剤は釉をはじくので、器が棚板にくっつきません。棚板用アルミナ塗料は、多くはカオリンと珪石でできた耐熱性の塗料で、垂れた釉から棚板を守ります。

酸化焼成と還元焼成

窯の中のガス、つまり窯の雰囲気によって、釉薬の焼き上がりが変わります。酸化焼成は、酸素が十分にある状態です。Digitalfire は「電気窯は酸化焼成と同じ意味です」と言っていて、酸化焼成の釉薬は、特に低めの温度で、ふつう還元焼成の釉薬より色が明るくなります。酸化焼成では、銅は緑やトルコ青に、鉄は茶、黄土色、赤になります。ガスを出す器を詰めた排気の悪い電気窯では、意図したより中性に近い雰囲気になることがあります。窯に直接つないだ排気装置が役に立ちます。

還元焼成は、意図的に酸素を制限するもので、ふつうはガス窯、薪窯、専用の窯で行います。銅は赤になり、鉄はより強い媒溶剤になって、青磁(青緑から灰緑。鉄およそ½〜2%)と天目(temmoku。黒褐色。鉄およそ5〜6%)になります。Glazy は、青磁と銅の赤は「還元焼成に頼っています」と言います。粘土も変わります。Digitalfire のある比較では、炻器の素地が還元焼成では灰色に、酸化焼成では黄色がかって焼き上がりました。釉に炭化ケイ素を入れると、電気窯でも小さな部分が還元されることがあります。オルトンコーン 010 からコーン 3 での還元焼成には、Orton は鉄を含まない自社のコーンを勧めています。

ガス窯の還元焼成向けに書かれた調合は、電気窯では違う焼き上がりになると考えてください。還元焼成に頼る青磁や銅の赤は、酸化焼成では同じようには見えません。調合がどの雰囲気向けにつくられたかを確かめ、ご自身の窯の雰囲気をコーンとともに、Glazecalc の調合のメモに書いておいてください。

電気窯も含め、どの窯からもガスが出るので、排気をしてください。方法は「安全な調合と換気」で説明しています。

用語集

R₂O と RO (R₂O and RO)
アルカリの媒溶剤(Na₂O、K₂O、Li₂O)と、アルカリ土類の媒溶剤(CaO、MgO、BaO、SrO。ZnO も含む)。
CMC(糊剤)(CMC gum)
釉を筆で塗りやすくし、付きやすくするセルロース系の糊。焼成で燃え去る。
アルミナ (Al₂O₃; alumina)
主な安定剤。釉流れを防ぎ、硬さを加える。粘土と長石から入る。
安定剤 (stabilizer)
溶けた釉に粘りを与え、耐久性を加える酸化物。主にアルミナ。
一度焼き (once-firing, single firing)
焼成していない器に施釉し、一度だけ焼くこと。
内側用の安定した釉 (liner glaze)
食べ物に触れる面のための安定した釉。ふつうは透明か白。
カオリン (kaolin; 英国: china clay)
アルミナとシリカを供給する純白の粘土。釉の懸濁を保つ。オーストラリアでは Eckalite。
ガラス化 (vitrification)
焼成によって素地がガラス質になり、吸水性がなくなること。
ガラス形成成分 (glass former)
ガラスの骨格をつくる酸化物。ふつうはシリカ。
貫入 (crazing)
素地より大きく収縮する釉に入る細かいひび。意図して出すものは装飾としての貫入(crackle)。
凝集剤と解膠剤 (flocculant and deflocculant)
釉液をゲル状にする(エプソムソルト、酢)か、薄くする(ケイ酸ナトリウム、Darvan)添加物。
強熱減量 (LOI, loss on ignition)
水、二酸化炭素、有機物、硫黄として焼成中に失われる重量。分析値では Ig.loss。
限界式 (limit formula, target formula)
あるコーンで安定した釉薬の、典型的なゼーゲル式の範囲。目安の式とも。手引きであって、保証ではない。
光沢、半光沢、マット (gloss, satin and matte)
反射してなめらか、控えめなつや、つやがない。
コーン (cone)
決まった焼度で曲がるように調整されたセラミックの三角錐。確認用コーンは、器が受けた焼度を示す。
冷め割れ (dunting)
冷却や加熱の応力による器のひび。石英転移(573 °C (1063 °F))で起こることが多い。
酸化焼成と還元焼成 (oxidation and reduction)
酸素が十分にある焼成(電気窯)と、酸素を制限した焼成(ふつうはガス窯か薪窯)。
酸化物 (oxide)
元素と酸素の化合物。酸化物の分析値は、それを重量%で示す。
磁器 (porcelain)
カオリンを多く含む白い高火度の素地。透光性のあることが多い。
下絵付け (underglaze)
色のついた泥漿や酸化物による装飾。ふつうは透明釉の下にある。
失透 (devitrification)
冷却の初期にガラスから結晶が成長すること。望まれない場合をいう。
焼度 (heatwork)
窯の中の温度と時間を合わせた効果。コーンが測るもの。
食器として安全 (food safe)
法律上は、酸による試験で、溶出する鉛とカドミウムが限度値未満であること。無鉛と同じではない。
シリカ (SiO₂; silica)
ガラス形成成分。原料はフリントや石英とも呼ばれる。
シリカ・アルミナ比 (silica to alumina ratio)
ゼーゲル式でシリカをアルミナで割った値。高いと光沢に、低いとマットに傾く。
素焼き (bisque; 英国: biscuit)
最初の、低めの焼成。ふつうはオルトンコーン 08〜04(多くは06〜04)で、器は丈夫になるが吸水性は残る。
ゼーゲル式 (unity molecular formula, UMF, Seger formula)
釉薬の酸化物を分子の数で表し、媒溶剤の合計が1になるように換算したもの。
石灰石 (whiting)
炭酸カルシウム。主なカルシウムの媒溶剤で、焼成で重量の40%を超える分を失う。ドイツ語では Kreide。
炻器 (stoneware)
中火度から高火度の素地(およそオルトンコーン 5〜10)で、ガラス化するか、それに近くなる。
棚板用アルミナ塗料 (kiln wash)
垂れた釉から棚板を守る耐熱性の塗料。
チキソトロピー (thixotropy)
かき混ぜると流れ、静かにしておくと柔らかいゲル状に固まる性質。
縮れ (crawling)
焼成中に釉が玉状に縮まり、粘土がむき出しになること。
着色剤と顔料 (colorant and stain)
釉薬に色をつける金属の酸化物や炭酸塩。顔料は工場でつくった、より安定した着色剤。
調合 (batch recipe)
釉薬の原料を重量で並べたもの。ふつうは合計100にする。
長石 (feldspar)
アルカリの媒溶剤をアルミナ、シリカとともに供給する鉱物。カリ長石、ソーダ長石、ネフェリンサイアナイト。
泥漿とエンゴーベ (slip and engobe)
水に懸濁させた粘土。エンゴーベは泥漿に似た化粧掛けで、粘土以外の原料が多い。
添加物 (additive)
調合の100の外に加える着色剤、乳濁剤、沈殿防止剤。
陶器 (earthenware)
低火度の素地(およそオルトンコーン 06〜02)で、吸水性が残る。
乳濁剤 (opacifier)
ジルコン、酸化錫、酸化チタンなど、釉薬を不透明にする原料。
媒溶剤 (flux)
シリカの溶ける温度を下げる酸化物。
撥水剤 (wax resist)
釉を付けてはいけない所、ふつうは高台に塗るろう。
比重 (specific gravity, SG)
釉液の重さを、同じ体積の水と比べたもの。英国の古い言い方ではパイント重量。
ピンホールとブク (pinholing and blistering)
溶けた釉からガスが抜けた跡の小さな穴、または縁の鋭いクレーター。
フリット (frit)
工場でつくるガラス。溶かし、急冷して粉砕したもので、水溶性や有毒な酸化物を不溶性にする。
ベントナイト (bentonite)
釉の沈殿を防ぐために1〜3%加える、非常に細かい粘土。
ホウ素 (B₂O₃; boron)
形式上はガラス形成成分だが、媒溶剤として使う。オルトンコーン 06 からコーン 6 まで不可欠。
ボールクレー (ball clay)
カオリンより鉄分と有機物の多い、可塑性のある粘土。
本焼き (glaze firing; 英国: glost firing)
釉薬を溶かす焼成。
未焼成の素地 (greenware)
焼成していない器。硬いがまだ湿っているときは生乾き、自由水が残っていないときは完全乾燥。
釉と素地の適合 (glaze fit)
釉と素地の熱膨張がどれだけ合っているか。適合が良いと、釉はわずかに圧縮された状態になる。
釉はがれ (shivering)
釉が圧縮されすぎて、縁からはがれ落ちること。実用の器では危険。
釉薬 (glaze)
焼成で溶けて器をふさぎ、飾るガラスの層。
溶出 (leaching)
焼成した釉から金属が溶け出して、食べ物や飲み物に移ること。
ラインブレンド (line blend)
一つの原料を二つの量の間で段階的に変える試験。三角座標では、三つの原料を格子状に変える。

出典